卒論は、とっくにできている。

マコトのことを忘れたくて、卒論がある間は、それを言い訳に遅くまで大学に残ったり、1日がかりで資料を調べたりした。

出来上がってしまった後は、気を紛らわせるには、遊び歩くしかなかった。

アルコールを浴びるように飲んで、女友達と行き過ぎた遊びを繰り返して。


そうして、マコトからのメールを見るたびに、自分が情けなくなって、泣きそうになる。


どうして俺は、マコトにとって、いい兄でいられないんだろう。

恋心なんて、心の奥深くに封印して。

マコトにとって優しい兄として、一生接していけるなら。

そうすれば、こんなに、苦しい思いをしないのに。