吉田や、みっちゃんのことも。

ボクが育ったこのお寺も。

みんなみんな、とっても、大切なんだ。


ボクにはこんなに、大切なものがあったんだ、って。

気付けただけでも、ボクと父さんと陸さんの、ほんとの関係を知ることができて、あの事故にあって、よかったと思う。


ホントにつらかったし、痛かったけど。

でも、無意味なことじゃなかった。


「誠。もういいから、中に入りなさい」


父さんが、境内に出てくる。


「大丈夫だよ、ボク」


ボクは、父さんに笑いかける。

父さんは、心配そうに、ボクを見ている。