どうしたんだろう。


まだ、体力も戻っていないだろうから、どこかで具合でも悪くなっているんじゃないだろうか。


「売店なら、十分もあれば帰ってこれるよね」

「ちょっと、探しに行ってこようかな、俺」

「大丈夫だよ、マコトは」


不安そうな二人を安心させたくて、俺は笑って言った。


「たぶん、戻ってくるのが、少し気まずいんだと思うよ。マコト、きっとふたりに嫌われた、って思っているだろうし」


半分は、自分に言い聞かせていた。

こんなことにさえ不安になっていたら、マコトから離れるなんて、できない。

だけど、側にいたら、もっとマコトを傷つける。


「別に、マコトが気まずく思うことなんて、ないけどなぁ」


吉田くんが言ったとき、病室のドアが遠慮がちに開いた。

マコトが、ちょっとオドオドして入ってくる。


「ただいま」

「おせーぞ、マコト」


ほっとしたように、吉田くんと堀井さんが笑う。

それを見たマコトの表情が、緩む。


ほんとに、マコトにとって大切な友達なんだな。

彼らがいてくれれば、俺なんていなくても、かまわない。

もともと、ずっと出会わないで生きてきたんだから。