これは、罰なのかもしれない。


俺は、結局マコトから父親を奪った。

もしも俺と、俺の母親がいなければ、マコトはちゃんと両親に愛されて育ったかもしれない。

マコトを苦しめた分、今、俺がマコトに選ばれなくても、仕方がないんだ。



「俺たちは、マコトのこと、親友と思ってるしさ。嫌いになんか、ぜったいにならねぇよ」


吉田くんが、ドーナツの砂糖がついた親指を舐めて、答える。

堀井さんが、頷く。


「まこちゃんが、もどかしいくらい他人を気遣っちゃうのは、今に始まったことじゃないし」

「そっか。そう言ってくれると、助かるよ。俺、ちょっとしばらく、マコトに会えないかもしれないし」

「……え?」


堀井さんが、首を傾げる。

なぜだか、少し心配そうな目を、俺に向ける。


「何か、あったんですか?」

「いや、単に俺の問題でね」

「それにしても、マコト遅いなー」


吉田くんが、またドーナツをかじりながら、時計を見る。

確かに、マコトが出て行ってから二十分は過ぎていた。