知らない振りをして、俺はふたりに尋ねた。
吉田くんと堀井さんが、目を見交わす。
「あんたもさぁ、もうちょっと、マコトに信じてもらえるようになれよな」
「さっき、有希子ちゃんが、まこちゃんがトラックからかばった女の子が、来たんです。
その子、まこちゃんのお嫁さんになりたい、って言って」
「たかが子供の言うことかもしれないけどさ。
けど、有希子なりに真剣だったんだって、俺は思ってんだ。
なのにあいつ、結婚してもいいなんて、安請け合いしてさ。
できるはずなんかないくせに」
「違うよ、洋平くん。
まこちゃん、本気で有希子ちゃんと結婚してもいいって、思ったんだよ。
まこちゃんは、ちゃんと真剣に、有希子ちゃんの気持ち、受け止めてたよ?」
「だって、あいつは、こいつのこと好きなんだろ?
なのになんで、好きな人なんかいないなんて、嘘つくんだよ。
真剣なら、嘘なんかつかないだろ」
「……嘘じゃ、なかったんじゃないかな?」
ドーナツの箱を開ける。
きちんと並んだ、飴色のドーナツ。
俺は、二人に笑いかけた。
「さ、どうぞ。食べれば、少しは気持ちも落ち着くんじゃないかな」
吉田くんと堀井さんが、目を見交わす。
「あんたもさぁ、もうちょっと、マコトに信じてもらえるようになれよな」
「さっき、有希子ちゃんが、まこちゃんがトラックからかばった女の子が、来たんです。
その子、まこちゃんのお嫁さんになりたい、って言って」
「たかが子供の言うことかもしれないけどさ。
けど、有希子なりに真剣だったんだって、俺は思ってんだ。
なのにあいつ、結婚してもいいなんて、安請け合いしてさ。
できるはずなんかないくせに」
「違うよ、洋平くん。
まこちゃん、本気で有希子ちゃんと結婚してもいいって、思ったんだよ。
まこちゃんは、ちゃんと真剣に、有希子ちゃんの気持ち、受け止めてたよ?」
「だって、あいつは、こいつのこと好きなんだろ?
なのになんで、好きな人なんかいないなんて、嘘つくんだよ。
真剣なら、嘘なんかつかないだろ」
「……嘘じゃ、なかったんじゃないかな?」
ドーナツの箱を開ける。
きちんと並んだ、飴色のドーナツ。
俺は、二人に笑いかけた。
「さ、どうぞ。食べれば、少しは気持ちも落ち着くんじゃないかな」