さっき。


マコトが飲み物を買いにいくと言って出て行ったあと。

吉田くんと堀井さんは、いくらか気まずそうだった。


「どうしたの?元気ないね」


気付かない振りで、俺は、オーバーテーブルにドーナツの箱を置いた。


「喧嘩でも、したみたいな顔してるよ。ふたりとも」

「わかっちゃい、ますか」


堀井さんが、笑う。


「別に、喧嘩したわけじゃねぇよ」


吉田くんは、まだ不貞腐れたような顔をして、頭をぼりぼりと掻いた。


「ただ、マコトが変なこと言いだすからさぁ」

「洋平くん」

「別に、隠すことじゃないだろ」


さっきの、マコトとあの少女の会話のことを、言っているのだろうか。

だけど、別に彼らがマコトに対して怒るような内容ではなかったように、思う。


「何か、あったんだ?」