どうして、気付かなかったんだろう。

マコトは、誰かひとりだけを選ぶなんて、できない子だ。

俺を選ぶことなんて、この先もずっと、ない。


地下から、病院の駐車場に出る。

職員用の、出口。


人通りの少ない道を、選んで、歩いた。

いつ、泣き出してしまってもいいように。


涙なんか、流れない。

それでも、人に見られたくない。


自分の浅ましさに、唾でも吐きかけたい気分だ。

あのとき。

マコトが死んでしまったと思ったとき、俺は、マコトが生きていてくれさえすればいいって、そう願ったはずなのに。

実際に、マコトが生きて、元気になったら、その次を望んでしまう。


マコトにとっての特別に、なりたい。