病室に入ろうとした時。

聞こえてしまった、少女の、告白。

そして。

マコトの、答え。


自分でも、馬鹿げているって、わかっている。

有希子ちゃんは、まだ小学校にもならないような子で。

だからマコトも、少女を傷つけないように答えただけで。


それでも。

自分でも、ぞっとするほどの、凶暴な嫉妬心。


あんな、子供に。


その場から、逃げ出すことしかできなかった。


何が、生きてさえいればいい、だ。

マコトが結婚するときは、祝福してやる、だ。


理性では、恋愛対象にさえならないと分かっている少女さえ、こんなに、憎んでしまうほど、利己的なくせに。