陸さんの言葉に、ちょっと笑いが上がる。


有希ちゃんにも、食べさせてあげたかったな。


ドーナツは、ふわふわで、甘くて、とってもおいしかった。


「これって、並んでると味見用にひとつずつくれるんですよね」

「並んだことあるんだ?」

「友達と。並んでいる時食べるのが、いちばんおいしい気がしたなぁ」

「そうなんだ。ボクも、退院したら行ってみようかな」


陸さんと一緒に、行ってみたいなぁ。

ホントは、夏休みに旅行に行こうって、陸さんに誘ってもらっていたのに、結局行けなくなっちゃったし。


「陸さん、陸さんは、夏休みいつまでなの?」


ボクがたずねると。

陸さんは、困ったような顔をした。


「あの、さ。マコト。ごめん。俺、そろそろ大学院に進むための卒論、本気でやらないとまずくてさ」

「そう、なんだ」


陸さん、大学院に進むんだ。
なんだか、すごいなあ。
ボクには、いったいどんな勉強するのか、想像もつかないけど。


「それで、しばらく見舞いに来れないと思うんだ。本当にごめんな」