「有希ちゃん。ボクは、有希ちゃんのことかわいいと思うし、大切だと思ってるよ?来てくれて、とっても嬉しい。でもね。ボクのことを守るとか、そんなふうに、思ってほしくないんだ」


有希ちゃんが、ちょっと悲しそうな顔をする。

どうしよう。

うまく、伝えられるかな。


「ボクは、有希ちゃんに守られて、有希ちゃんが傷ついたりする方が、いやだよ。有希ちゃんが元気で、笑っていてくれたら、ボクは幸せだから。だからね」

「ちがうの」


有希ちゃんが、首を横に振る。

そうしてボクを見る有希ちゃんの目が、なんだかとても大人っぽく見えて、ちょっとドキッとした。


「ゆきこは、まこちゃんのおよめさんになりたいの」


「女の子って、突然成長するのね」

有希ちゃんのお母さんの、ため息交じりの呟き。

「有希子は、誠くんが大好きなんだもんね」

お母さんに頭を撫でられて、有希ちゃんが、はっきりと頷く。

本当に、以前ボクの前に立つことさえはにかんでいた有希ちゃんとは、別人みたいだ。