有希ちゃんの、小さな体の中いっぱいに広がっていた、罪悪感と、不安と、恐怖心。

それが、全部涙と一緒に消えちゃったら、いいのに。


「……有希子?」


有希ちゃんのお母さんが、心配そうに笑う。

そっと、お母さんに肩を叩かれて、有希ちゃんは、顔を上げた。

まっすぐに、ボクを見上げる。

今まで泣いていたはずなのに、とてもまっすぐな、瞳。


「ゆきこ、まこちゃんのおよめさんになる」


え?


びっくりしたけれど、有希ちゃんの目は、とても真剣で。

どうして、そんな話に飛躍したんだろう。


「ゆきちゃん、ボクなんかより、もっと好きなお友達、いるでしょう?」


有希ちゃんが、首を横に振る。


「ゆきこ、まこちゃんのおよめさんになって、ちゃんと、まこちゃんのこと、まもるの」