「もしも、ね。有希ちゃんが来てくれたら、ボクが謝るからね。有希ちゃんきっと、とっても怖かったんだよ。大丈夫、って、みんなで言ってあげなくちゃ。だから、もし、ボクが元気だって見せてあげることで、有希ちゃんが安心できるなら、会いたいな、って思ったんだ」


時間がたてばたつほど、きっと、怖かった記憶は深く残ってしまうから。


「そっか。ありがとな、マコト」


吉田が、ほっとしたように、笑う。


「そうしたら、近いうちに連れてくるよ。有希子も、マコトに会いたがってるんだ」



そうして。

ボクの点滴と、胸の管が抜けた日、有希ちゃんが吉田のお姉さんと一緒に来てくれた。

吉田と、みっちゃんも一緒に。

やっと全部の点滴や管が外れてから、有希ちゃんが来てくれて、よかった。

点滴とかしながらだったら、有希ちゃんを、返って怯えさせちゃうもんね。



「有希ちゃん、元気だった?」

有希ちゃんは、お母さんの手をぎゅっと握ったままで、椅子に座っているボクを見ていた。

その目が、キラキラと潤んでいる。