陸さんは、ちょっと悔しそうに、おじさんを睨んでる。

でも。

なんだか前より少し、仲良くなったように、見える、かな。

「あんたが、マコトの前に出てくるからだろ。俺は絶対、マコトに、あんたが父親だなんて知られたくなかったんだ」
「……それは、悪かったな」

おじさんが、小さい声で言って、ボクを見る。

「まさか君が、何も知らないまま育ったなんて、思いもしなかった」
「ごめんなさい」
「そこは、謝るところじゃないだろう」

おじさんが、呆れたように苦笑する。

だって。
おじさんも、陸さんも、ボクが生まれたせいで、仲が悪くなって、家庭もばらばらになって。
なのに、その原因だった僕は、何にも知らずに、父さんに育ててもらってた。

ボクだけが、罪にも現実にも気付かずに、幸せに生きてたんだ。


いちばん悪いのは、やっぱり、ボクだと思う。