ひとしきり泣いて。

境内の杉の神木のてっぺんに、ひとつめの星が薄く輝く頃。

ようやく、堀井は顔をあげた。




「失恋したのに、失恋した相手の胸で泣くなんて、なんだか、変だよね」


「変じゃ、ないよ」


堀井は、ちっとも、変じゃない。


変なのは、吉田を好きになっていた、ボクのほう。



「あのね。堀井。ボク、嬉しかったよ。堀井がボクのこと、好きって言ってくれて」