「……陸さん」

ようやく咳がおさまって、ボクは、陸さんを見上げた。

「ん?大丈夫か?」
「うん。ボクは、平気。……あのね。ボク、陸さんに聞きたいんだ」
「なにを?」

ちょっと、聞きにくいけど。
でも、ちゃんと理由が知りたい。

「あの、窓ガラス。ボク、陸さんがあんなに怒ってるの、初めて見た。怖かった。陸さんが、どっか行っちゃうんじゃないかって。どうして、あんなことしたの?」
「ああ」

陸さんが、ガムテープで補強してある窓ガラスを見て、ちょっと、顔をしかめる。

「ごめんな、あのときはマコトを驚かせて。麻酔が効いていたのに、無理に起こして。……笑うなよ?」

ちょっと照れたように言う陸さんに、ボクは頷いた。

「あのときさ。マコトは、いくら俺が呼んでも起きなくて。このまま死んでしまうんじゃないかって、思った。俺、まだ何もマコトに言ってない。もっと話したかった。一緒にいたかった。そう思ったらさ。……ごめん。俺、マコトを抱えて、ここから飛び降りるつもりだった」

……やっぱり、そうなんだ。