「父さん。ほんとに、ごめんなさい」

それでも。
父さんは、自慢の息子だって、言ってくれた。
ずっと、父さんの期待を裏切っているって、思っていた。
なのに、父さんは、ボクのことを認めてくれた。

ボク、父さんの子供にしてもらえて、よかった。

「誠。謝るんじゃない。おまえは何も悪くないんだから」

父さんが、少し困ったように、笑う。
そうして、父さんは陸さんを振り返った。

「ほんとうに、君は大丈夫なのか?」
「はい。俺は別に、用事があるわけじゃないし」

え?
陸さんが、父さんと話している。

「誠。今夜は、祐介くんがついててくれるそうだ」
「え、そんな、ボク大丈夫だよ。陸さん、家に帰らないと、きっと家の人が心配するよ」
「マコト、俺一応もう大学も卒業の年だから」

陸さん、笑ってる。
でも、だって、ボクは陸さんのお父さんに嫌われてて。
きっと、おかあさんだって、いい気はしないと思う。

ボクは、陸さんの家庭を壊した原因のひとり、なんだから。