頬に、そっと手があてられて、ボクは、意識を取り戻した。
だけど、身体が動かない。
目も開けられなくて、まるで、金縛りみたいだ。


「マコトっ!目を開けてくれよっ!」


あ。
陸さんの、声。
でも、どうしたんだろう。
こんなに切羽詰まったような陸さんの声、初めてだ。


返事、しなくちゃ。
ちゃんと聞こえてるって。
でも、声が出ないんだ。


陸さんが、離れる気配。


陸さんが、行っちゃう。
会いたかったのに。
このまま、陸さんが行っちゃうなんて、いやだ。


陸さん。
行かないで。
ボクを置いて行かないで。