言い捨てて、俺は、玄関を出た。

車を回しましょうか、と話しかけてくる運転手を無視して、門を出る。

下手に家の車を使って、母親に呼び戻されるのはまっぴらだ。



タクシーを拾って、病院の名前を告げた。

少しでも早く、着きたい。

だけど、胸の奥に恐怖感がわだかまっている。



会うのが、怖い。

意識がないと、言っていた。

もしもそのまま、目が覚めなかったら?



落ち着かないと。

ちゃんと、花でも買って、落ち着いて、マコトに会うんだ。

そうすればマコトだって、きっと、いつもどおりに会ってくれる。


笑って、くれるはずなんだ。