「祐介さん。どういうことなのかしら」


母親が、紅茶を前に、俺に話しかけてくる。


「なんの、話ですか?」

「あの人が、電話してきたのよ。あなた、あの人の子供と、会っているんですって?」


あいつの、子供?

マコトのこと、あんなに傷つけておいて、何が子供だ。


「何かの勘違いじゃないですか?俺は、親父の子供なんて、知りませんよ」


マコトは、あいつの子供なんかじゃない。

そうでなきゃ、マコトがかわいそうすぎる。


「とにかく、その子はうちとは無関係ですからね。変な約束はしないでちょうだいよ」

「変な、約束?」

「例えば、うちの財産や仕事を、譲るとか、ね」