ボクは、一生懸命、携帯電話に手を伸ばす。


届くかな。


指先に触れて、携帯電話が、落ちる。


陸さん。


すぐそばにあるのに、届かない携帯電話。


陸さん。

やっぱり、ボク、ダメみたいだ。

どうしても、陸さんが、好きみたいだ。


ボクはまた、道路に転がった。

軽く、咳き込む。

口の中に、血の味がする。

続けて咳をすると、思いがけず口から血があふれた。


シャッターの音と、サイレンの音。


陸さんに、会いたいなぁ。