陸さん。

今でも、陸さんのことを考えると、ドキドキする。

切なくて、泣きたくなる。


キスされて、とても、幸せだった。

陸さんが、ボクのことを大切に思ってくれているって、信じられた。


でも、今は。


ボクは、ポケットに入れた携帯電話を、そっと、触れた。


大丈夫。

きっと、忘れられる。

だって、今までだって、恋なんかしてこなかった。

恋なんて知らなかったころに、戻ればいいんだ。

陸さんは、ただの、頼れるお兄さん。

そう思えば、幸せじゃないか。

ひとりっ子だったボクに、兄さんができたんだ。

とても、幸せなこと。