どうしよう。


涙が、止まらない。


別に、悲しいことなんて、何もないはずなのに。


だって、吉田は、変わらず、ボクの友達で。


吉田が、堀井のことを好きだっていうことも、最初からわかっていたことで。



……違う。



ホントは、ボクは、ぜんぜんわかっていなかったんだ。


人を好きになるっていうことは、その人が、特別で、いちばんになるっていうこと。



吉田と、堀井の間には、もうボクはいられない。


友達だけど。


これからも、きっと一緒に遊ぶこともあるかもしれないけど。


それでも。





ボクは、吉田の特別には、なれない。





ひとけのないところは、結局、自分の家、お寺の境内しかなかった。