陸さんに殴られて、お父さんが地面に座り込んでいる。



「祐介、おまえ、わかってて誠といるのか?」



陸さんがまた、お父さんの襟をつかむ。



「俺はあんたとは違うんだよ。俺は、マコトに笑っていてもらいたいから、守ってやりたいから、だからマコトの側にいるんだ。だから、邪魔すんじゃねぇよ」


陸さんが、また腕を振り上げる。


「陸さんっ!やめてっ!」


必死で、ボクは声を絞り出した。

身体の震えが、止まらない。

ボクを振り返った陸さんが、顔色を変える。


「マコトっ!」


陸さんが、ボクを抱きしめてくれる。

あったかい。

外は暑かったはずなのに、寒くて、震えて仕方がない。


「マコト、ごめんな、大丈夫だから」


陸さんに抱きかかえるように支えられて、ボクは立ちあがった。

僕たちの背中に、陸さんのお父さんの、声。


「あの時、やっぱりお前は死んでいればよかったんだ」


この、声。

……あのときの、父さんの、声だ。