夏休みの間は、夕方には帰ると、マコトは決めているらしい。
「佐伯さんが、夕食を準備してるんだけどな」
「ごめんなさい。でも、父さんにも夕方には帰るって、約束したから」
「マコトは本当に、お父さんっ子なんだなあ」
初めは、父親のことが嫌いなのかと思っていた。
だけど、一緒にいるとマコトの行動は、基本的に「父さん」が中心だと、分かる。
逆らえないのは、子供の頃の虐待の記憶のせいだろうか。
「そしたら、帰りは送るよ。ちょうど、そこの神社の縁日があるから、通っていこう」
「縁日?」
「あ、お寺の子が神社はまずいのかな」
「でも、陸さんと行ってみたい」