あいつ、マコトのことを見ても、何にも気づいてなかった。
マコトが、自分の子供だって。
手放してから、一度も、様子を見にもいかなかったんだろう。
会わせたくなかったけれど、それでも、腹が立った。
虐待して、あげく捨てた子供に、罪の意識どころか記憶さえないんだ。
あんな奴に似ているなんて、冗談じゃない。
ましてや、マコトにそれを言われるなんて。
「あの……陸さん、ごめんなさい」
マコトが、しゅんとして、頭を下げる。
「違うんだ、マコト。マコトを怒ったわけじゃないんだよ。ただ、俺、あいつ嫌いだから」
え?と、マコトが顔を上げる。
「でも、あんなにやさしそうな人なのに」
「やさしくなんかねぇよ。最低だ、あいつは」