「どうしたの?マコト?」

「あの、おうちの人なら、あいさつしなくちゃっ、て」

「いいんだよ。この人はうちで働いてくれている佐伯さんだから」



トレイに、シャーベットとアイスティーを乗せて持ってきてくれた、お手伝いの佐伯さんは、上品に微笑んでいる。



「こちらでお世話になっています、使用人の佐伯です。外は暑かったでしょう。どうぞくつろいでください」



テーブルの上に佐伯さんがグラスを並べているのを、マコトは緊張して見ている。

なんだか、可愛いな。

ごゆっくり、と一礼して佐伯さんが出ていくと、マコトは、はあ、と息をついて緊張を解いた。



「お母さんが来たのかと思った」

「おふくろは今会社だから、絶対顔合わせることはないよ。誰もいないからさ、のんびりしていいよ」

「え、でも佐伯さんが」

「そりゃ、使用人は何人かいるけど、無断で入ってくることはないからさ」