「そっか。吉田くん、見てたんだ」
陸さんは、走ってお寺まで来てくれた。
御堂の上がりに二人で並んで座って、ボクは尋ねられるまま、陸さんに吉田とのことを話した。
「吉田は、言いふらしたりはしないと思うけど。陸さん、大丈夫ですか?」
「俺?なんで?」
「なんで、って」
同性愛者なんて噂が立ったら、陸さんのほうが困ると思う。
「ああ、俺がバイなのは、友達も知ってるし。別に言いふらされたとしても平気だよ」
え?
陸さん、隠してないんだ。
なんだか、すごいなぁ。
ボクなんて、自分自身でも、まだ認めきれないのに。
「マコトくん。これからうちにくる?」
「え?陸さんの家?」
「そう。外より、安心してゆっくりできると思うよ」
陸さんの部屋。
行ってみたい、かも。
でも、迷惑じゃないのかな。