あ。


どうしよう。



ほっとしたら、また、涙が出てくる。



「マコトくん」



電話の向こうで、陸さんの声が、心配そうに響く。


「どうしたの。何が、あったの?言ってごらん。俺が、なんとかしてあげるから」

「なんでもないんです。ただ、陸さんの声が、聞きたくて」



陸さん。

声を聞いているだけで、安心できる。

ボクはひとりじゃないって、思える。



「ありがとう、陸さん。ボク、陸さんに会えて、よかった」



吉田がどう思っても。

ボクにとっては、陸さんは、大切な、優しい人なんだ。



「マコトくん。今から、行くよ」

「え?」

「そんな、今にも消えそうなこと言われたら、心配でほっとけない」

「ごめんなさい。大丈夫です。心配かけるつもりじゃなかったのに。ごめんなさい、ボク、バカみたいだ」

「謝らないでいいから。俺が、会いたいんだよ」



会いたい。



陸さんから言われて、また、ちょっとドキドキする。




「ありがとう、陸さん」