「見たんだ、俺。おまえが…あいつに、キス、されてた」
……え?
一瞬、頭の中が真っ白になる。
ボクと、陸さんがキスしてるとこ、見られた?
どうしよう。
だから、吉田、こんなに怒ってるんだ。
そうだよね。
オトコとキスするような友達なんて、気持ち悪いよね。
嫌われちゃったのかな。
ボクが嫌われるのは、仕方ないと、思う。
でも、陸さんの立場が悪くなったら、どうしよう。
「…ごめんね、吉田」
「なんで謝るんだよ!悪いのはアイツだろ!あんなことまでされて、なんでアイツといるんだよ。アイツに、何か脅されてんのか?」
え?
吉田、もしかして、ボクが無理やり陸さんにキスされたと、思ってる?
そうじゃないのに。
でも。
そう思われていれば、ボクは、吉田に嫌われずに、すむかもしれない。
一瞬だけ思って、ボクは、首を振った。
だめ。
陸さんのこと、悪者にするわけにいかないよ。
目を閉じて、深呼吸。
言わなくちゃ。
ずっと、隠していたこと。