「今日はさ、これをあげようと思って」
陸さんが、小さな紙袋を、差し出す。
「ボクに?」
受け取って、袋の中を見る。
オレンジ色の箱。ちょっと、重い。
「開けてみて」
言われるまま、袋から箱を出して、気づいた。
これ。もしかして。
「陸さん、これ、もしかして」
「昨日、持っていないって言ってたから」
箱を開けると、陸さんとおそろいの、赤い、携帯電話。
「もらえないです、こんな」
「通話料金は、家族割にして、俺が払うからさ。大丈夫だよ」
そんなの、なおさらもらえない。
「ダメです。そんなことしてもらうわけにいかないです」