電話が鳴ったのは、父さんがお風呂に入っているときだった。
「もしもし」
あ、マコトくん?
どきん、とした。
なんとなく後ろめたくて、浴室を振り返る。
大丈夫だよね。
父さんまだ、入ったばかりだし。
「陸さん?」
今、大丈夫?ダメなら切るけど。
「あ、大丈夫です。父さん今お風呂だから」
何言ってるんだろう、ボク。
陸さんからの電話まで、父さんに隠すこと、ないのに。
そっか。よかった。
あのさ、明日また会えるかな?
「え?」
明日も、会える?
会う約束が、できる?
そっか。
電話って、こういうことができるんだ。