「ちょっと、洋平!」
女の人の声。
横断歩道の前で、小さな女の子の手を引いた女の人が、手を振っている。
「げっ、姉貴?」
吉田が、その場に立ち止まる。
つかつかと、女の人が近づいてくる。
ショートヘアで、明るい表情の女性。
「何よその態度」
「どうしたんだよ、姉貴」
「今日、同窓会なのよ。だから有希子を預かってもらおうと思って」
少女が、吉田の手を握る。
「おにいちゃん、遊んで?」
有希ちゃんが、吉田を見上げて、にこっと笑う。
「有希は、洋平のお嫁さんになるんだもんねー」
「ちょっ、なんでそんなことここで云うんだよ」
あわてたように言う吉田の横で、みっちゃんも笑ってる。
「えー?私なら大丈夫よ、洋平くん。これでおあいこだもんね」
なんだか、楽しそうだなぁ。