「謝ることないよ。そっか。じゃあ、俺の携帯番号と、メアド」
陸さんは、ボールペンを携帯電話と持ち変えて、破いた手帳の紙に書き込んだ。
手渡されたメモを、ボクは大切に手のなかに握りしめる。
「ありがとう、ございます」
嬉しい。
これで、また陸さんと連絡が取れる。
「マコトくんの家の電話番号も、教えてくれると嬉しいんだけどな」
「あ、はい」
カバンから、生徒手帳を出す。
電話番号を書いて、手を止めた。
もしも陸さんから電話がかかってきたら、父さんはどう思うだろう。
電話に出るとき、父さんはあまり愛想がよくないから、友達も慣れるまではけっこう怖がるんだ。
なるべく、電話にはボクが出るようにしているけど。
「マコト、こんなやつに番号教えて、大丈夫か?」
横から、吉田が声をかけてくる。
「親父さんに、怒られるんじゃないのか?」