ボクは、吉田と堀井に笑いかけた。
歩きかけたボクの腕を、強く、掴まれる。
温かい、指。
振り返ると、吉田だった。



「なぁ、もうちょっとだけ、店まで付き合えよ。俺、おまえにお礼したいしさ、その店、ホントにうまいんだ。あんまり騒がしいやつには教えたくなかったけどさ、おまえとは、いつか行きたいって思ってたし。なんだったら、掃除、俺、手伝ってもいいからさ」



え?
何言ってるんだろう、吉田。
だって、今日は、おまえと堀井のデートで。
ボクは、ただ紹介したから、頼まれて一緒に来ただけで。
うまくいったら、後は、邪魔だろう?



「でもさ、吉田、そんな、気を使わなくてもいいよ?ボク、おまえと堀井さんって、お似合いだと思うし。その、ふたりのほうがさ」



「おまえこそ、余計な気、使うなよ」