「そういえば、ボク、大学受験してもいいって、父さんが言ってくれたんです」
「そうなんだ。よかったね」
住職さんも、マコトのやりたいことを、優先してくれたのかもしれない。
だけど、マコトはいくらか浮かない表情をしている。
「マコトくんは、あんまり嬉しくないの?」
「ボク、どうしようか、まだ迷ってるんです。大学に行きたいのも、もう少し友達と一緒にいたい、って気持ちもあったし、でもお寺を継ぐなら、ほんとは修行に行って、資格をもらってくるべきだってわかってるんです」
「でも、お父さんが許してくれたんだろう?」
マコトは、少し困ったように笑っている。
「少し、考える時間が欲しいだけだったのかもしれないって、今は思っているところです。ボクがお寺の後を継いで、本当にいいのかって」