「俺、ガキだったから、姉貴たちみたいに、母親のこと、支えられなくて……」
絞り出すように言い、息を吸う。喉の震えが、伝わってくる。
「自分の無力さに、落ち込んでたとき、言われたんだ」
――アカツキは、ただ笑ってくれてるだけでいいの。
私は制服のシャツに額を寄せ、静かにアカツキの音を聞いた。心音がほんの少し、早い。
「あんたの笑顔を見てると、あったかくなって、痛みが和らぐからって」
お父さんやお姉ちゃんたちが苦しんでたら、あんたの笑顔で癒してあげて。
アカツキは朝の光だから、暗く沈んだ夜を、笑顔で照らして。
「俺が笑ってれば、姉貴たちも明るくなるし」
かすれた声を聞いて、目を閉じる。
「俺が、笑ってれば」
私の肩を掴む手が、震えてる。
「母さんの病気も、治るかもしれないって、思って――」
痛みが、伝わってくる。
アカツキの悲鳴が、声音に溶けて、胸をえぐる。


