アカツキが肩を回しながらにやりと笑った。

「優勝は俺がもらった」

「私だって、負けないから!」

 ボールを磨きながら火花を散らす私たちに、ギャラリーの声援が飛ぶ。

「おーアカツキが珍しくやる気出してるぞ!」

「ご主人と忠犬の対決か! チーコ、負けんなよ」

「ちーちゃん頑張れー!」

 これまで見たところ、細いなりに筋肉があるのかアカツキのボールは安定しているし、コントロールもいい。

 でも私だって負けていない。自分でいうのもなんだけど、私は本番に強い。ここ一番という場面で実力を発揮できるタイプなのだ。

「うっしゃ!」

 腕をぐるりと回し、私はボールを構えた。

 ガコーンと小気味いい音が響いて、私の投球がピンを吹き飛ばす。歓声が上がり、スコア表にストライクのマークが表記された。

「ふふふ、私の勝ちだね」

「まだまだ」