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 ひとり負けしたセイがカラオケの代金を支払い、私たちはビルを移動した。

 7人で満員になってしまう狭いエレベーターを下りると、だだっ広いフロアにレーンがいくつも並んでいる。

「ボーリング?」

「おうよ、次はこれで勝負だ!」

 もういったい何の勝負なんだかサッパリなんですけど、という言葉を呑み込んで、私はレミと一緒に専用靴に履き替える。マジックテープを留めて、レミがにこにこ笑った。

「ボーリングなんて久しぶりだぁ」

「レミ、スコアどれくらいなの?」

「いいときと悪いときと、いろいろだよー」

 華奢なレミにボーリングの球は重そうだと思っていたら、案の定、彼女が選んだのは一番軽いものだった。それでも十分持ち運びに苦労していそうだけど。

「ダイチは馬鹿力だからマイナス80点スタートな」

「理不尽! トワひどい!」

「俺、ひ弱だからハンディほしいな」

「甘ったれんなアカツキ! ハンディは女子だけだ」