人間は、薄汚いもの。
すぐに裏切って、裏切られるもの。
信頼できる相手なんて
この世に存在しない方がいい。
そしたら、楽に
楽に生きられる―――――...


―――――ハッ


今、きっとフリーズしてた
今は教室。
友達のアイドルの話題を聞き流していたんだった。

...アイドルなんて、まっぴらごめん。
全く知らないし、興味もない。
前は好きだった時期もあったかも。
今は逆に好きじゃないかな。
逆に私は
皆が興味のない『二次元』が好きだし。
「キモい」とか「変なの」とか
いろいろ言われるけど...
は?そんなの知らないし。
言っておくけど
アイドルとか、顔で判断するのが
私は一番嫌いなの。
この人カッコいー!とか
そういうの、普通に顔で決めてる気がする。
ちなみに、そういうのも合わせている。
例えば、好きな俳優。
特にいないため、みんなに合わせるように
顔がカッコイイ人を適当に言う。

...あぁ、こういうところが
私って冷めてるんだなぁ。

だってカッコイイ俳優とか
どうでもいいじゃん
夢のまた夢の世界だよ?芸能界なんて。
近づく勇気もないし、近づきたくもない
あんなのドス黒い世界じゃん
テレビで共演したタレントが
とっても性格の悪い人で
その人の悪口言ってたら
ドッキリ番組で知られちゃうーみたいな。
なんか面白いって言うよりかは悲惨だよね。
あぁ、今日もお疲れ様ですって感じ。

...話がだいぶずれた。
...まぁ、私は
特定のテレビしか見ないし。
芸能なんてあんまり見ないかな。


「結?」
「ん?」
「...あのさぁ」
「うん」
「何であの三大先輩たちと今日来てたわけ?」


...友達の視線が
痛いほどつきささる


「...そんなの知らないけど。勝手に家に来たし。」
「何それ?抜け駆けして約束したんでしょ?どーせ」
「はぁ...?」


呆れすぎて
つい、ため息がこぼれてしまう。


「あぁ、そっか。結って
 功先輩と幼なじみなんだっけ?
 いいね、幼なじみの特権って
 コネがあれば近づけるじゃん?」
「まぁ、それに比べてうちらは
 頑張って話しかけてる、みたいな?
 それって結よりかなりえらくね?」
「だねー。自分から話しかけられないって
 どんだけ先輩に甘えてんの」


言いたい放題だな。
何?僻みだよね。それって。
ていうかさ。確かにあんたたちのほうが可愛いよ。
先輩に人気もあるし。でもさ
そんな性格だからダメなんだよ。

...だから信頼できる人なんて作らない方がいい


「はぁー...」
「...何?結。ため息なんかついて。」


もう限界だ。
言わなくっちゃ


「あのさぁ...」








「何言ってんの?
 結には俺らから近づいたんだよー?」








....え?




「っ...和先輩!?」
「結に会いに来たのにー...
 まっさか結が散々悪口言われてるとはねー」
「あんたたちが窓際の席でよかったわ
 ぜーんぶ聞くことできたし?」
「聞いていれば言いたい放題だよな
 ずいぶんと自分に自信があるみたいだな」


友達は3人の言葉を聞いて唖然としている
きっと私の嫌味を
私にぶつけて、落ち込ませて
先輩に近づけないようにさせるとかそんなもんだよね
残念ながら
そんなので私はくじけないよ
だって私は
変わるから。


「ち、ちがっ...
 私たちは結をうらやましくってっ...」
「何?結を散々コキ使ってたのあんただろ?」


そう言って
一番リーダーシップをとる子を指さした。


「おー。あんた...
 名前忘れた。ウザくって。 
 俺に散々媚び売ってきた子だ。
 どうせ俺に一番近い1年女子だとでも思ってたんだろ?
 俺は最初っからお前なんてごめんなんだよ」
「いいのは顔だけか?
 ...いや、顔もそこまで可愛くないか」


...先輩も、言いたい放題。


「...和、貴斗先輩、功
 ...もういいから。最初から平気だし。
 私だってみんなを騙してたんだからさ」


皆に合わせてふるまってたなんて言ったら
きっとみんなの顔は歪んで
もっと面白いことになるだろうね


「私は最初からみんなに合わせてたの
 好きな俳優も、趣味も、全部全部。
 カッコイイ先輩なんて...最初からいなかったし」
「...っ!?」
「あんたたちの合わせるの大変だったわ。
 なんか趣味まで押しつけられてさ。
 パシリにされたりしてね。
 正直限界だったかも。
 私は功の特権なんかじゃないけど?
 自分自身で近づいたよ?
 先輩についていこうって。
 ...もう、あんたたちの言いなりはおしまい。
 これからは変わる。」



信頼できる人なんていらない
友達なんていらない
愛想笑いを振りまいてた私にバイバイ




私の瞳からなぜか
一筋の光がぽたっと落ちて行った