何したい?って聞かれても難しかった
それにもし見つかったりしたらと思うと怖かった
だからとりあえず功の家に来た


「...俺の家って」
「だ、だって...」
「いいの?本当に何もないんだけど」
「いいよ、」
「じゃあ話しよ」
「え...なんの」
「いいから、俺が言うことに答えて」


功は柔らかく笑った
あぁ、なんかわかったかもしれない
功は気を使ってくれてたんだ
でも、やっぱり聞かなきゃいけないこと
知りたい、わけじゃなくて
私と深く関係してるからには
知らなくちゃいけないことなんだね


「...和に告られた?」


...やっぱり


「...うん」
「やっぱりな」


そう言って苦笑する、功


「結は、どう思ってる?」
「え?」
「貴斗に辛いこと言われたよな
 和は真反対に慰めてくれた
 それでも結は、和に気持ち揺らがない?」
「...」


一番答えづらい質問だった
功は、どっちの味方なんだろう
でも今日の朝
貴斗先輩に改めて恋をしたと気づいてしまった

外は、どしゃぶりの雨になっていた


「...わがままかもしんないけど」
「うん」
「正直...まだ、わからない」
「うん」
「和も好き。大好き
 でも恋とはわからない」
「うん」
「貴斗先輩も好きなはず
 でも和に告られてよくわからなくなってきた」
「...そっかー...」


功は軽かった
別に笑ってもなかったし
こわばった顔もしてなかった
ただただ普通に


「結が答えを出すんだけどね
 やっぱり待たせちゃだめだよ。...特に和」
「う、ん...」
「俺はね、貴斗にも和にもついてないよ
 結の味方だからね、」


そう言って笑う
でも、本当に功はそう思ってる?
どっちについてほしいか、本当は...


「...ごめん」
「ふぇっ!?」
「変なこと言ったね、そんなに悩まないで」
「...」
「...さっきと言ってること矛盾してるけど」
「...ね」


そういうと功は苦笑した
私が今日学校行きたくなかったのは
貴斗先輩にも和にも
そして友達にも、誰にも会いたくなかった
唯一、功と拓海がいいかな...


「...ごめん、功」
「ん?」
「こんなことに、つきあわせて」
「だーかーらー、あやまんなっつの」
「...でもごめん」
「...」
「...」
「...結香は、笑った方が可愛いよ」


天然なりの励ましの言葉は
意味が分からないはずなのに
なぜか
涙があふれた