「何で大丈夫、なんだよ」


あの後、最悪な別れ方をした私たち
和と功と一緒にとぼとぼ歩いていた


「なぁ、結、大丈夫じゃ、ないだろ?」


心配そうに顔を覗き込んで和が言う
それにも反応しない私に和は
私の前に立って、歩くのを制した


「ちょっ、和、行こうよ」
「...」
「嫌だ。どかない」
「...」
「結が、何も言わない
 だから言ってるだろ、前からずっと
 結は我慢しすぎなんだって
 結のいいたいこと言えてないんだって」
「わかってるよ、わかってるけどさ」
「和も結も、うるさい」
「「...」」


功の言葉で一気にさえぎられた


「和の言いたいことはよくわかる
 だってそれは俺も思ってることだから
 でもそれはただ単に結を追い詰めてるだけだ
 そんなにピリピリすんな、行くぞ」
「「...」」


ド迫力...

でも、2人を心配させてるんだ
私のくだらない恋事情で困らせてるんだ
そう思うとまた、
ほら、涙がでてきて


「「結!?」」


2人を困らせてしまう


「結、ごめん、俺、言い過ぎた」
「違う」
「何?どこか、痛い?」
「違う」
「じゃあ何?大丈夫?」
「...2人とも、困らせてごめんね」


出た、本音
もう困らせたくなかった
私の、恋事情で
皆を困らせてた
そう思うと、もう恋なんて
本当に嫌なものにしか思えなくて


―――ぎゅうっ


「なぁに言ってんの、結」
「別に困ってないよ、大丈夫」
「...」
「「だから泣かないで」」


何でこんなにも安心するんだろう
2人に挟まれて、また泣いた
私は、2人のことが大好きだ
どうしようもないくらい

でも、貴斗先輩への想いとはどこか違う

何を言われても
何をされても
きっと私は貴斗先輩が好きなんだろう

それがなぜかはわからない

自分でも嫌になるくらい好きだ

だから、この恋を終わらせよう


「結、功、じゃな」
「おう」
「バイバ、...イ」


何?今の
和の、心から辛そうな顔
あんなの初めて見た


「結、」


功がまた私を抱きしめて言う


「大丈夫?」
「うん、大丈夫
 だからもう離して、大丈夫だから」
「...それは嫌かな」
「は!?」
「嫌」
「...」


何でだよ
心からそうツッコみたい


「結と2人きりっていうの
 結構俺の特権だったりするじゃん」
「...うん?」
「だからその特権を楽しもうと思って」
「...」


ごめん、全然わからない
うん、全くわからない
とりあえず特権でも何でもいいから
離してほしい、切実に

...でも、まぁ
涙が引っ込んでるのはコレのおかげだったり、ね