涙がぼろぼろ零れて
ぬぐってもぬぐっても止まらなくって
俯いたまま、自分の服を濡らし続けた


「...」
「...」


もちろん、可愛いお店なんて嘘で
ただ誰も来なさそうな通りに来た


「結、だいじょぶ?」


そう言って和は私の目元を袖で拭った


「いいよ、袖が濡れちゃ、」
「そんなの今気にしてる場合じゃねぇだろ」


そう言って和は
私を抱き寄せた
今までとは違って
力強い、抱きしめ方だった


「お前、貴斗のこと好きなんだろ?」
「...」
「でもアイツは愛梨がいんだよ」
「...」
「何で貴斗が好きなんだよ?」
「そんなん、」
「何で貴斗なんだよ!!!」
「え、」


...え?
どういうこと?
和の腕の力がまた、強まる


「ちょ、和、苦し、」
「俺、結のこと好きだから」
「え、」
「結が俺のこと見てなくても...
 俺、ずっと、好きだから」


体から離されて、和と視線が絡まる
見たことない真剣な表情に
ドキッとしてしまった

...どうしよ

...目をそらすことが、できない


「...」
「...」
「...ぶっw」
「え、」
「あははははははっ!!!」
「!?」
「ゆ、結っ...ふふw
 そんな顔しないでよw笑えてくるw」
「はぁ!?」


えっ!?
なになに、今のって...
嘘!?


「嘘じゃないよ?」
「んぉ!?///」
「奇声ww...だから、その...
 嘘じゃないんだってば」
「...///」


さっきはすっごく真面目だったのに
今はめっちゃ照れて言う

...なっ、なんなんだ...


「...まぁ、そのだな。
 俺的には今言ってほしいところだけどっ...
 それじゃ結が困るだろうし...待つ。」
「う...あ、ありがと...」
「ん。じゃ、行くか」
「う、うん」


和にはすごく助けてもらってきた
そしてすごく大好きな存在だともいえる
...和と付き合えば、もう泣かなくなる?
もう、こんな辛い想いしないのかな...

私の心の中は「複雑」で埋め尽くされていた