地味に過ごしていくつもりだった
ただ、同級生と話して
平凡に過ごしていく日々を
貫いていくはずだった
でもその願いは
はかなく消えてった
あの日が来たから
―――――――――――――――――...
「おっはよー」
「「「「「おっはよー」」」」」
いつものように挨拶を返してくれる友達
うん、全然変わらない
私の名前は、安藤 結
ただただ、平凡に過ごしている中学1年生
私の学校は、小学校のころからメンバーが変わらない
まぁ、合併しないということ。
だからずぅっとメンバーは一緒だし
もう幼なじみ感覚だから
挨拶を返さないなんて、まずありえない
「やっほー、結」
「ん、おはよう」
「ねね、結。昇降口に
貴斗先輩いたの見た?」
「え、いたの!?
嘘でしょ!?うわぁぁ、ショックー!!!!」
大げさに、言ってみる
貴斗先輩っていうのは、2個上の3年生の先輩で
男子バスケ部に所属する、先輩だ
「結ー。ショックだねぇ
見れたら、一日頑張れるのにねぇ」
「ホントだよぉ...あーぁ、ツイてない」
貴斗先輩は、私の中での
カッコイイ先輩3人のうちの1人。
ミーハー?わかってるよ、そんなこと
...でも、心の底からカッコイイって思ってるわけじゃない
友達は先輩の話できゃーきゃー騒ぐようになって
一人、取り残されているような感覚に襲われた
ずっと皆一緒だったけど
取り残されるのは嫌だった
だから、「カッコイイ先輩いないの?」って言われたとき
つい、口に出してしまった人が
人気の、貴斗先輩だった。
「でも貴斗先輩、彼女もちだもんねー」
「まぁね。...ってか好きじゃないし
お似合いカップルだし。許せるリア充だし。構わないし。」
「はいはい、言い訳を並べないの」
「い、いいわけじゃないし!!!」
これは、ほんとの本音である
別に好きじゃない
何回も言うけど、ただ単に口から出まかせの人物なのだから
まぁ、あとの2人も
からかわれてそれで誤解を招いちゃっただけなのだけれども。
「まぁ、功はいたけどー」
「あぁ、委員長の仕事でしょー?
毎日いるから、功先輩とは会えるよね」
「うんっ」
えぇ、みなさんお分かりのとーり
功が、2人目ですよ
...っあ、何で呼び捨てかって?
家が隣だから、小さいころから仲良し
まぁ、幼なじみってとこかな
功も、3年生の先輩で
男子テニス部に、所属している
...顔は、カッコイイというより可愛いかもしれない
「...見るだけ幸せ」
「えー?結なら話してくれるって
私みたいな地味子じゃないしさー」
「いやいや、何言ってんのさ
私のが地味子だし」
「えー?」
そう言ってケラケラと笑う友達。
...地味子って言っても...ねぇ
つるむ友達は全然地味じゃない
リーダーシップをとる方だし
言っちゃえば、自己中だし自分勝手。
そんな友達とつるまなかったのに
いきなりつるむようになった、中学1年生
これは中学生デビューだな。うん。
...デビューしても友達は変わらないけども。
「結ー!ほらほらほら外見てよ!!!!」
他の友達が騒ぐ
...うん、これは...
「和先輩だね。」
「そうでしょうとも。行ってくる。」
仕方がないので席を立って見に行く。
...うん、いるね
和先輩、3人目。
3年生。...説明が雑になってる?...気にしないで
私の一緒の剣道部に所属している。
...えぇ、私も剣道部ですとも
もう引退してるし
まぁ、部員だったときからサボり魔っぽかったけども
一番チャラい。
「先輩先輩って...
平凡に過ごす私には関係ないよ...」
つぶやく私の独り言は
風の中に消えて行った。
デブでブスな私には
先輩なんて、関係ない
付き合うなんてきっとないし
話すことだって、特にない
「私は同級生だけでいいの...
先輩だって私のことなんて知らないだろうし...」
いや、知ってると思うけど
ただの1年生としか思われていないよ
「そんなの...思うだけ無駄だもん...」
...でも、少しは
「仲良く、なりたいよ...」
この声は、誰にも届かないまま。