あっ……。
その光景は私の脳裏でもフラッシュバックするように現れた。
それはこの世界に来る前の事。
ノアの体に触れた時、私は自分が死んだ時の葬儀の映像が頭の中に流れてきた。
そこで泣いてるように、棺の前で肩を震わす海斗を見たんだ。
「怖いと思った。実亜が死ぬのが、怖いと思った……」
「……お互い様だよ。私だって、カイトが死んだって思った時はそんな気持ちだったんだから」
ああ……カイトは私の体だけじゃなく、心臓までも握りつぶそうとしてるのだろうか。
心の奥の方が、ずっと悲鳴をあげ続けてる。
これも魔法?
この甘い苦しみも、魔法……?
苦しいのに、幸せだと感じるのはなぜだろう。
涙があふれるのはなぜだろう。
ねぇ、カイト。
あなたも今、同じ苦しみを感じてるの……?
苦しんでなんて欲しくないはずなのに、それを願う私は悪魔かなぁ?
「カイト、戻ろう……一緒に、戻ろうよ……」
「……ああ、そうだな」
すると、目の前にある扉がひとりでに開いた。