私の肩に頭を乗せて、目を瞑る。

そんな彼の腕に触れ、ゆっくりその顔、その髪に触れてみる。

触った感触が指先を通して私に訴えかける。


これは間違い無く、カイトだと。



「……っ」


カイト、ねぇ、カイト。

知ってる?

扉の向こう側にミアがいるんだよ。

カイトがあんなにも探してた、あんなにも忠誠を誓ってた、ミアがいるんだよ。

彼女もカイトの帰りを待ってるんだよ。


外では操り人形のように心を閉ざし、記憶を失ったカイトが、異世界から来たmiaに騙されてるんだよ。

彼女はミアじゃないのに、ミアだなんて言って忠誠誓ってるんだよ。



「カ……イト……」



だから、ねぇ。

私がどんな気持ちでここに来たか、カイトは知らないでしょ?


私が今までどれだけ悲しんで、傷つけられたか知らないでしょ?



「……カッ……」



ねぇ、私が今……どれだけ嬉しいか、知らないでしょ?


「……っ」


きっとわからない。

一生かけたってカイトにはわからない。


でもね……。





「…………会い……かった……良か、った……」