なぜそう思うの?


なんて聞かれたら、その理由はわからない。

答えらしい答えを私は持ち合わせていない。

ただなんとなく、そう思うだけ。


だけど、それなのに、足は扉に向かって駆け出した。

気持ちがどんどん高ぶってゆく。

シンプルな扉。

長方形でなんの変哲も飾りも無い。

真っ白な扉。

様々な形をしたそれらの中では明らかに地味。

なのにそこに私の知ってるカイトがいるような気がしてならない。

私の会いたいと思うカイトがいる気がしてならない。


カイト、カイトーー。



「ーーカイト!」


駆け抜ける衝動が、駆ける足が、私をカイトの元へと引き寄せてくれてるような気がする。


もう一度私を見て、実亜って呼んで。

もう一度優しく手を握って。


全身全霊で彼を感じる。

血が沸騰しそうに、熱い。



ーーダン!


扉に手をつき、肩で息を整える。