小さく頭を振って、もう一度辺りを見渡した。

この中から私の探すカイトを見つける。

形、大きさの違う扉。

ゆっくり歩き出し、扉ひとつひとつを触れてみる。

肌触りも若干違う。

見た目は同じなのに触ってみるとささくれていたり、滑らかだったり、ゴツゴツしていたり。

それらはどれもカイトの記憶であり、心なのだろう。

噴火する火山のように荒々しい時があったり、ふいに優しい言葉をかけてくれたり。

憎たらしく笑う時もあれば、暖かく安心させるような笑顔を向ける時もある。

色んな側面を見せるカイト。


だけどそのどれもが、彼なんだ。

そう、ここにある無数の扉と同じように。


その時だった。

ふと、目に止まった扉があった。

数ある扉の中、なぜそれが目についたのかはわからない。


いたってシンプルな扉だから、逆に目についた?

いいや、それは無い。

微妙に形が違うけれど、似た様なものはそこらに散らばってる。

なのに、なぜかこの扉が目に映った瞬間、何かを感じた。


感じずにはいられなかった。




「……カイト、そこにいるの?」