「ワンドはまだ生きていたの?」
『ええ、私の意志を継いで、欠片になっても実亜を見守っていてくれた』
じゃあ、今は……?
なんて、聞くのはやめた。
だって答えはわかっていたから。
前よりも黒っぽく見える石をミアから受け取り、見やった。
ーーありがとう。
そんな言葉を投げかけながら……。
『さぁ、カイトを探しましょう。時間が無いわ』
その言葉を皮切りに、再び辺りを見渡した。
扉は様々な形を模している。
ひとつひとつが微妙に違う。
そういえば前にここへ来た時、鏡のような扉があったっけ。
鍵が付いていて、カイトの意識の中だというのに、カイトですら鍵を持ってないという扉。
鏡のように全てを映し返す鏡。
あの中にはどんなカイトの過去があったのだろう。
『実亜、どうかした?』
前の記憶を回想していた私は、はっとして顔を上げる。
「ううん、なんでもない」