『ワンド、あなたはよくやってくれたわ……私の願いを聞き届け、ちゃんと実亜をここまで連れて来てくれた』
……どういう事?
言ってる意味がわからなくって、ワンドの欠片を見た後、もう一度ミアを見つめて首を傾げる。
『あなたが一度この空間に来たとき、私はまだ身動きが取れなかった。けれどワンドがいたから、私はワンドを介して実亜を見つける事が出来た。
実亜が別の世界へ行こうとしているのを止めるのも、別世界へ行った後、私の声を届けてくれたのも、全てはワンド、彼のおかげ』
「そう、だったんだ……」
悲しいのか嬉しいのか。
眉を八の字にしながらも、愛おしそうにワンドを優しく包む手。
『ありがとう、ワンド。ゆっくりおやすみなさい……』
ミアはそう言って、フッと石に吐息を吹きかける。
それを受けた赤い石は、一瞬キラリと輝いた。
ワンドが話し出す時、いつも輝くようにふんわりキラキラと。
けれどそれも束の間。
やがては消え、再び何の変哲もない石に戻った。