『大丈夫。思い出して、カイトの事を思い出して。こっちの世界で出会ったカイトを。あなたの幼なじみである彼と同じ魂を持つカイトを。大丈夫、きっと見つかる。きっと、実亜なら見つけられる』
根拠も無く言ってくれちゃって……。
私は無意識に胸元に掛けてあった赤い石をぎゅっと掴んだ。
すると、それを見たミアはゆっくりとその石に向けて手を伸ばす。
その時初めて、あっ、て思った。
「……ごめん。勝手にワンドを借りてたんだけど、壊されちゃって……」
悲しそうな色をその瞳に乗せて、ミアは石を見つめる。
それを見て、私も悲しくなった。
ワンドはただの杖じゃない。
私を助け、助言してくれた。
ちゃんと生きていた。
なのに、私のせいで壊されてしまった……。
数日一緒にいた私でも悲しいのだから、ミアはもっと悲しいに決まってる。
しかも勝手に持ち出されてこうなったんだから、きっとやるせない気持ちでいっぱいなんじゃないだろうか。